Vaultsは開発者の目線として面白い仕組みだと思っています。今回はそんなDefiのVaultsについて解説していきたいと思います。
- 「APYとAPRの違いがよくわからない…」
- 「APYって結局なんのことなのかわからない…」
- 「Vaultsの仕組み・使い方・見方がわからない…」
- 「日利(daily)をどう見ていいかわからない…」
こんな悩みを抱えている方向けの解説記事になります。一度目を通していただければ、複利の基本的なことからVaultsの深い知識まで一括で理解できます。
また『Vaultsの独自トークンを持つ』という事がどういうメリットに繋がるのか知りたい・効率的に資産を運用したいという方は是非読んでみてください。
Vaultsとは?利益の仕組み
Vaults(ボールト)と表現される事が多いですが、本来の機能からイールドファーミング・オプティマイザーという名称でも呼ばれています。
複利運用を自動で行うサービスで、その仕組みを解説していきます。
本来ファームで複利をしたい場合にはハーベストしてステークするという作業を行う必要があります(つまりCompound)。
ただ、Compoundを手動で行うにはいくつかのハードルがあります。
Compoundを手動で行う場合のハードル
- 仕事などの関係で何回もDeFiサイトを開くことができない
- 何度もCompound作業を行うのが面倒
- 毎回ガス代が発生するため、ガス代がもったいない
こういった問題を解消してくれるのが『Vaults』です。自動でCompound作業を行ってくれるため、サイトを開く事もガス代の負担も無くなります。
Vaultsの紹介
BSCの有名所だけでも、13のVaultsがあります。
種類は多いですが、それぞれ内容に違いがあるため注意が必要です。(もちろんリスクも違います)
※BSCニュース参照画像
実際に私が運用しているサービスの詳細に関しては、下記動画を参考にしてください。
Vaultsの仕組みについて
個人的にVaultsの一番好きな仕組みは、運用している人のアイディアと開発力のみでサービスが作れる点です。ファームを作らなくてもいい部分と、資金もいらない点はかなり画期的だなと思っています。
図のように、
①ユーザーはファームで複利運用をしたいと思っています。
そのため、『Vaults』に資金を預けます。
②複利マンは、その預かった資金をもとに複利運用を開始します。
③報酬は複利運用した人に返ってくるので、複利マンは受け取った報酬を元に手数料を引いた資金をユーザーに返却します。
これが、『Vaults』の仕組みになります。
Vaultsのポイント
- compoundが一回で済む!
→複数ユーザーの資金をまとめて運用するため、ガス代の節約に繋がります。
※複利マン・ユーザー共に節約 - 運用先ファームは決まっている!
→金融機関と違い運用先を考える戦略やロジックが不要
※そこを調整する必要がない為、運用方法を作る側としては楽 - 複利マンは、仕組みのみの提供で元手不要!
→入金手数料・出金手数料・利益から運用手数料を取ることができる!
※個人的に一番すごいと思う点 - 独自トークンを報酬で出すケースが多い!
→ファーム側ができるだけ多くの資金を集めたい為 - ファーム側は、TVLが増える!
→詳しいメリットをしりたい方はこちらの動画をcheckしてください。
APY/APR/日利の違い・関係性・計算方法
APY・APRの違い
複利を考えるか考えないかという違いがあります。
APR=複利を考えない方
APR=複利を考える方
APR:年換算利回り
→『今の利率のまま1年間放置したとしたら何%になる?』
APY:年間利回り
→『今の利率のまま複利して運用したら何%になる?』
※daily-compound(1日1回複利)を元に記載されている事が多い。
Daily(Monthly):日換算利回り
→『Daily=APR÷365』逆『Daily×365=APR』になります。
※同じように12で割るとMonthlyも出すことができます。
この計算方法は是非、覚えて頂ければと思います。単純計算の為、APRが高くなればDAILYも高くなります。
例:BREWのLP
APR:301.49%
→『301.49%÷365=0.83%』複利▶『100.83%**365 – 100% ≒ 1913.73%』
複利効果早見表:日利(or APR)→APY
こちらの早見表では、日数に対してどのような倍率になるかを載せています。
例:1%で一年間運用すると37.78倍になる事が表から読み取れると思います。
複利効率化:1%の100回複利と2%の50回複利どっちが高い?
早見表があることで計算がしやすいだけでなく、Vaultsを行う上で重要な考え方にも繋がると思います。
Q:Daily2%の運用先があったとします。半日(12時間)で1%。
(1日1回複利するor半日ごとに1日2回複利する)どちらの方が利率がよくなりますか??
A:1日2回複利をするケースのほうが利率が良くなる
※表を見るとすぐに分かります。(1%の100回が2.7倍・2%の50回が2.69倍)
各自エクセルやスプレッドシートなどで作成しておくことをおすすめします!
1%を100回の方が利率が良い事が表から分かったと思います。そのため、同じように考えるとできるだけ細かく複利(compound)したほうがいい事が分かります。(2%50回<1%100回<0.5%200回<0.25%400回…)
この考えでVaultsについて考えると、できるだけ細かく複利を行ったほうがいいと言うことが分かってきます。
Vaultsの運用方法2パターン(ガス代負担型・ストラテジー型)
Vaultsの運用パターンは大きく分けて、ガス代負担型・ストラジー型の2パターンに分かれています。
ガス代負担型
・複利(compound)分のガス代を一般ユーザーに負担してもらう方式
・負担してくれたユーザーにはその時の運用益から一部報酬を出す
※compoundのガス代を一般ユーザーが負担してくれるので、Vaultsとしてはガス代がかからない。そのため、福利すればするほどユーザーは利益を出しやすいという形になります。
ストラテジー型
・後述する理由で、compoundするタイミングのロジックを作っています。
・compoundは自動でbotが行う方式です。たまに一般ユーザーもいるハイブリッド方式がある。
※autofarmやbeefyなどはこちらの方式です。
APR/APY/日利の関係から分かるストラテジーの予備知識
なぜストラテジーが存在するのかという点について。
・ガス代がかからない場合
→とにかく細かく複利を行ったほうがいいです。(1%と2%の比較参照)
→ストラテジーが不要
bearn(bVaults)・ValueDefi(vSafe)など
※ユーザーがcompoundを押してくれるほど勝手に運用してくれるので良い。
・ガス代がかかる場合
→複利する度にガス代がかかる為、細かくやると損になる。
例:1日100CAKE収穫できる(1回の収穫にガス代0.1CAKE発生)
1日1回(daily-compounded)=ガス代0.1CAKE分
1日24回(hourly-compounded)=ガス代2.4CAKE分
どちらのほうが利益がでるのか?これを最適化するのがストラテジーです。
※一番利益の出る所で止めないといけないと最適化してくれる。
→ガス代を考え、どれくらいpending(収穫待ちの報酬)が溜まったらcompoundするかというストラテジーを作ってbotで自動複利する。beefy・autoform・swampなど
※ストラテジーによって多少APYに差がでる。どこで複利するかが場所で違う為。
Vaultsのまとめ
- Vaultsは複利運用をスムーズにしてくれる機能
- Vaultsは『仕組み』を作っている。ファームを作る必要はない
- APR・APY・Dailyはシンプルな計算で繋がっている
- ガス代を考えなくてもいいならcompoundが多いほどいい
- ガス代を考慮してストラテジーを組んだbotがcompoundしている
便利なサービスではありますが、Defiは自ら積極的に調べることが何より大事ではあります。うまく活用しながら、運用手段の一つとして参考にして頂ければ嬉しいです。