今回は最近起こったironfinance(アイアンファイナンス)の暴落について、画像付きで解説をしていきたいと思います。暴落と言いましたが、崩壊に近いです。
この記事を書くにあたって自分でもいろいろ調べたのですが、TwitterやSNS上で「運営が飛んだ、逃げた」など、他にも間違った情報が飛び交っている部分があったので、事実を元にして解説していきたいと思います。
また、このironfinanceは、仮想通貨業界のインフルエンサー的な方の発信や、その他いろんな人の発信を見てやったという人が多いようですが、基本的には自分で判断しないといけない世界なので、この解説記事もあくまで参考程度に見ていただけたらと思います。
はじめに
先に、私個人のironfinance運用状況について書いておきます。
私自身もIRON-USDCペアで途中までやっていましたが、1回目の暴落で$60から$40まで落ちた時があり、そこで売っています。
ちなみにこの時、私が運営しているテレグラムのグループの中で「このタイミングで私は抜けますね。」と言って売っているので、気づいている人は気づいていると思います。もしテレグラムのグループに参加して、自分も情報収集したいという方は下のリンクからグループに参加してください。
では早速、本題に入っていきます。
暴落の概要
今回何が起きたのかを簡単に言うなら、「TITAN」が$60から限りなく0に近い$0.000001ともいえるところまで暴落したことにより、その後、IRONの売却がどんどん進み価格が暴落していったという感じです。(下記画像参照↓)
最初、TITANは$60から$40くらいまで暴落しているのですが、この時に私は抜けました。その後$50くらいまで一旦回復して、また一気に暴落した感じです。
ちなみに$50からほぼ0のところまで暴落した時は、日本が深夜の時間帯だったので朝起きてチェックしてみたら言葉が出ない・・・。という人もいたと思います。
0まで暴落した時には、PolygonNetworkがとても重たくなっていて、トランザクションが通らない状況でした。なので「売り抜ける」ということが出来ず、売れないままどんどん価格が下がっていき、ページをリロードする度に価格が下がっていく・・・という悲惨な状況でした。
暴落時にはTITANが物凄い速さで売られすぎて「そうなったらIRONも持つ意味ないよね」という流れになり、IRONを持つ人が減り、TITANの暴落に引っ張られる形でIRONも暴落していきました。
すると結果として、TITAN、IRONを持っていた人が大きな損失を被る結果となりました。
IRON・TITANの仕組み
続いて、IRON・TITANの仕組みを簡単に解説していきます。より詳細な解説はSNSなどで詳しい方たちが発信してくれているので、ここではざっくり解説していきます。
まず、USDCとTITANを使ってIRONのMINTができます。
IRONは$1の価値があるとされていた通貨ですが、それを$1のUSDCではなく、MINTすることで、上の画像の数字の場合83.40%のUSDCと、残りをTITANで$1のIRONが取得できます。
そして同じようにREDEEMを使うことで、$1分のIRONを、USDCとIRONに変更できます。
このMINTとREDEEMがあるおかげで、これとは別にUSDCとIRONのLPが組まれているので、USDCとIRONは普通にスワップができるようになっています。
例
例えば、IRONの価格が$1を下回っていたら、スワップしてREDEEMで分解することが出来ます。すると結果的に$1分のトークンが手に入ります。
そしてその流動性から買ってREDEEMで分解するということを繰り返しやれば、稼ぐことができるプラス、流動性の方のIRONの価格も$1に戻ってきます。
逆に、流動性の方のIRONの価格が$1を上回っていった場合には、MINTをして、$1でIRONを生成して流動性で売ります。これをすることで利益が出て価格を下げることができる仕組みになっています。
この一連の操作は「TITANを混ぜる」ことがポイントになっています。TITANが入ることでクッション的な要素が入り、USDCと完全な一対一ではなくなるのでこのようなことが出来ます。
正直、ここが今回の問題となった箇所です。ここに関してはいろんな方が考察してくれているので、チェックしてみてください。
暴落までの流れ
今回どのように暴落に至ったのか運営サイドが詳細を発表しているので、それを元に流れを解説していきたいと思います。
内容は、下の画像を見てのとおり大きく分けて6つあります。この内容をGoogle翻訳にかけて、順に詳しく解説していきます。
1について
「TITANは非常に高価で60〜65米ドルに急騰しました。」と書かれていますが、これは、一番最初に値上がりした時のことを言っています。(下記画像参照)
このとき、すごい上がり方をしていたので、人によっては億り人になった人もいたんじゃないかなと思っています。
そして次に、「その後、60に戻ると、クジラが投棄され、少しパニックになりました。」と書かれています。
クジラとは大口ユーザーのことを言います。大口ユーザーの人がかなりの金額を売ったことで約$20下がり、少しパニックになりました。ちなみに何度も言うようですが、私もこの時に売っています。
次に、「20万件の取引が行われ、多くの人が即座に売りました。」と書かれています。これは翻訳通りの意味です。約$20ほど下落して$40になった時に、TITANを売った人やIRONを売った人が続出したということです。
2について
「その後、TITANが急激に低下したため、IRONはペグを失いました。」と書かれています。文字通り、TITANが急激に低下すると制御不能になります。さらっと書いてありましたが、これが制御不能を招いた全ての理由です。
次に「これで、90セント相当のトークンを75セントのstablecoinと25セントのTITANに交換できます。」と書かれています。どういうことかと言うと、まずIRONを売る人が増え、IRONの価格が下がり、流動性の方でIRONが90セントになったので$0.9で購入できるような状況になってしまいました。
ということは、先ほど「例」の項目で解説したように、$0.9でIRONを購入後、REDEEMで分解することで$1に変えることができるので、「これ、無限に稼げるんじゃない?」と考える人がいました。
次に「したがって、裁定取引の機会がありますが、これには毎回新しいTITANを作成する必要がありました。」と書かれています。まず裁定取引とは$0.9で買って$1で分解することを言います。そして、この操作をするには毎回新しいTITANを作成する必要がありました。というふうに書かれています。
なので、REDEEMする場合にはどうしてもTITANが25%生成され、さらにREDEEMの操作を繰り返すことでよりTITANが生成されることになる。といった内容になります。
3について
「大きなクジラは非現実的なペースで裁定取引を開始し、市場に新たに鋳造されたTITANが殺到しました。」と書かれています。大口のユーザーが非現実的なスピードで裁定取引を始めたということになりますが、おそらく手動ではなく、Botを組んでいたんじゃないかと思われます。
そして、裁定取引が繰り返し行われたことでTITANの生成が進み、価格も下がっていきました。
なぜTITANの価格が下がるのかというと、まずREDEEMをする時に$1のIRONを入れたとしたら$0.25のTITANが生成されます。
ただ、TITANの価格が下がれば下がるほど$0.25分には多くのTITANが必要になります。
例えば、TITANの価格が$1だった場合、生成に必要なTITANは0.25で済みますが、仮にTITANの価格が$0.025だったら、生成には10TITANが必要になります。このような感じで、TITANの価格が下がれば下がるほどたくさんのTITANを生成しなきゃいけなくります。
次に「誰もがパニックに陥り、依然としてTITANの価格を押し下げており、ペグはTITANの価格に関連しているため、下落し続けています。これは、ペグを取り戻さないと止められない悪循環です。」と書かれています。
これはもう文面そのままの意味で理解ができると思います。補足するとしたら、REDEEMの際に生成したTITANはすぐ売られるので価格がどんどん下がります。
そして、「ペグを取り戻さないと止められない悪循環」とはどういうことなのかというと、MINTする際にはTITANが少し混ざります。この時TITANは担保のような役割だと考える人が多いですが、TITANが暴落してほぼ$0になった時、結果的に83%のUSDCで$1のIRONを発効している状態になってしまいました。要は、USDCしか価値を持っているものがなくなり、USDC分の担保しかなくなった状態になりました。
4について
「ペグは15分間回復し、TITANは回復しているように見えました。しかし私たちは再びペグを失い、TITANの鋳造と販売のフィードバックループがすぐに再開しました。」と書いてあります。
ここも、文面そのままの意味で理解できると思います。ペグは15分回復し、TITANは回復しているように見えたが、結果、ダメになったということですね。
5について
「結果:Ironがペグされていない限り、TITANは無限にドロップします。また、TITANがドロップし続けると、Ironはペグされません。」と書かれています。これが、暴落が起こる数日前に起こっていた価格上昇です。このことを踏まえると、ironfinanceは上がる時も早ければ下がる時も早いです。
続いて「最終結果:TITANは数分の1セント、IRONは安定したコイン(71〜75セント)に支えられています。」と書かれています。この、安定したコインというのはUSDCのことを言っています。MINTの際にUSDCを預けてもらった分があるので、その部分が確保できているという意味です。
そして、「多くの人がここで数千ドルを失いました、私は皆なに申し訳ありません。」と書かれています。今回の暴落では日本人の中には2000万くらいの損失をしている人もいました。(Twitterで偶然拝見しました。)
6について
「彼らがそれを修正できる唯一の方法は、TITAN開発者がミンティングプロトコルについて何かをする場合です。これは、IRONステーブルコインの基板全体は基づいているため不可能と思われます。」と書かれています。
1〜5までの内容がわかれば、ここの意味もなんとなくわかるかと思います。以上で、ことの顛末はこんな感じになります。
補足・まとめ
ちなみにですが、TwitterやSNS上では「運営が飛んだ、逃げた」と間違った情報が出ていますが、運営は売ってもなければ、逃げてもいません。また、ハッキング、ラグプル、エクスプロイトでもありません。シンプルに、仕組みが関係して価格が下がり崩壊していったという感じです。
そして、「USDCの担保の行方」についても話題になっていましたが、元々、USDCはAAVEというレンディングプロトコルで運用されていて、そこから引き出されていたので「飛ぶんじゃないか?」と言われていました
ですが、今のところは飛んでませんし、実際過去に1度問題が起きた時に飛んでいないので、今回もおそらく飛ぶことはないんじゃないかと思っています。
というのも、すでにREDEEMの再開のアナウンスも出ていますし、コンペンセーション(賠償金)はまだですが、保証のプランも今後出てくると、個人的には読んでいるからです。また、下の画像の上部には、運営から「今は買わないでください」と赤く表示されているので、ちゃんと整理をしたいんじゃないかと思います。
そして「REDEEMを解放していたから、こんなことが起きたんじゃないのか?」と言っている人もいますが、確かに仕組みを見ればその通りではあるのですが、この機能がなければIRONを買う人がかなり少なかったと思います。
このREDEEMはIRONの価格維持機構の一つなので、この機能がなければIRONのペグが外れやすい=$1を外れやすいということになるので、IRONはもうステーブルコインとは言えなくなります。となると、USDCからスワップする必要もなくなってしまいますよね。
それに、このことは「MINTする時にTITANを混ぜる」という時点で、元々分かっていたことです。当時は画期的と言われていましたが、画期的な反面、崩壊の懸念点にもなると詳しい人たちの間ではずっと言われていました。
今回のこの件では、間違った認識をしている人も多いので、TwitterなどのSNSで情報収集をする時は気をつけてください。また、もし損失をした人がいたら、これからテレグラムやTwitterの公式アナウンスをチェックしてみてください。今回の保証とは関係なく他でAirdropがあります。ここに関してはまた別で記事を書きたいと思います。
そして、今後は どこにリスクがあるのかということを考えた上で、まずはしっかり理解して投資をするようにしたほうが良いかなとは思います。
注意喚起
あくまで自分で判断しましょう
今回の件で、仮想通貨関連を発信してくれていた有名なインフルエンサーの方が鍵垢になってしまったのですが、かなりのアンチが出てきたんだろうなと思います。
インフルエンサー的な人の発信を見て動いた人がかなりいたのかな。と思いますが、あくまでも発信者は選択肢を見せてるだけと思ってください。
「お前が言っていたから買ったのに、落ちたじゃないか!」的なことを言われまくって鍵垢にしたのかな?と察しますが、私がもし同じ立場だったら、正直私も鍵垢にすると思います。
せっかく発信しているのに、その意味もなくなってしまいますし、一人の人間として精神的なダメージは当たり前に受けます。また、避難を浴びせまくると、発信してくれる人も発信してくれなくなるので、あくまで自分で判断してお金を使っているということを忘れないようにしていきたいですね。
ステーブル関連のプロジェクトはTVLが非常に集まりやすい
今回扱った、ironfinanceやSafedollarなどステーブルをうたっているプロジェクトはTVLが非常に集まりやすいです。
過去に、MidasDollar、bdollar、MonsterSlayerCashなどが流行り、かなりTVLも集まり、トークン価格も上がったのですが結果的に悲惨なことになりました。
そして今Polygonが出てきて新規の人も増えたようでまた流行りそうな雰囲気があるので、「ステーブルだから」ということに流されずに、自分でちゃんと情報収集をしてもらえたらと思います。
錬金術はない
今回、IRONの煽り文句で「錬金術」というワードが出ていたのですが、これはないと思っていた方がいいです。
ironfinanceの場合は、暴落まではめちゃくちゃうまく行き、イメージとしては自国通貨を発行するのと同じような状態になりました。
他の言い方をすれば、元々価値がついていないものに対して、「この国では何円分します」「この国ではこの価値ですよ」ということを確定させて流通させるということが可能になるかもしれませんでした。ただ、結果的に暴落しました。
なので、とりあえず錬金術なんてものはないと思っていた方が投資をする上ではいいと思います。
また、力を加えずにずっと仕事をし続ける「永久機関」もないと思っていた方がいいです。壮大ですが、昔から人類は「電力やエネルギーの生成って無限にできるよね」ということを考えている人もいて、それをずっと研究していますが未だに作れていません。
そして錬金術も同じようなものだと思います。今後も挑戦するとか、いろんな話題が出るんだとは思いますが、そんな簡単なものではないと思っていた方がいいです。
まとめ
今後自分で情報収集するときに、人が発信しているのを見て簡単に「あ!これ稼げそう!」と思って資金を突っ込むのではなく、一旦自分の判断を入れてください。
あくまで選択肢が教示されているだけなので、それを見て自分がやるかどうかは「自分」で選びましょう。
そして今回、結構大きい事件だったので記事で扱わせてもらったのですが、おそらく今後は私以外にもYoutubeやブログ、SNSなどで詳細を発信してくれる方がいて、もっとわかりやすいと思うので、勉強のためにもそういう方達の発信を見ていただけたらと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。